崎峠の生まれた場所はパッと見だと中の上のような環境だった。もの凄く裕福でもないが、
何一つ不自由のない家柄だった。ただ実際には、父に関しては真面目に仕事は働くのだが何か
のきっかけでキレ出すと何するかわからないような性格でしばしば崎峠を困惑させた。母は胡
散臭い宗教にハマり、崎峠にもその教えをもとに教育していた。
ただ、そのためか同年代の子達と考え方や何気ない行動の中に理解し難いものがあり友達はほ
ぼできなかった。子供時代は腕っ節は強い方だったと思っている。まず喧嘩で負けることはな
かった。1人互角だろうという同級生はいたがお互い無意識のうちにやり合ったらそれなりに
被害も被ると本能的にわかっていたのかぶつかったことはない。
自分の考え等が同じ世代に受け入れられないジレンマからか、思い解してみるとよく暴れては
他の子達を傷つけ、それがより一層・友達を作る時間を遠ざける結果になった。自分でも、や
はりいい思い出ではなかったのだろう、一時期・家出をしてあてもない生活をしていた。
中学の中頃あたりにはヤクザ関係の人のところに居候もして、時々ヤンチャなこともやった。
ただ、どこか礼節や仁義を重んじる場面も肌で感じた経験もあり、荒れていたが何のために力
を使うのか❓ということをどこかで根本的に考えるようになり、不用意に暴力的な行動を慎む
ようになったのもこの時からだろう。
ただの暴れ者と、どこか規律を重んじ生きる姿勢とは明確に違う何かがあり、そこに人として
の美しさを感じるようになってもいた。人格が形成されていく中で初めて教養・倫理観がつい
てくるきっかけになっていった。