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〝民警隊〟 第一期

10 思わぬ珍事件5 草創期6


 おいでやす甲冑隊のイベント警護役の配置は、主にイベント会場・そこに至るまでの入口2
箇所の3つを中心に配置されることになった。
 新年度より新たに加わった21名の隊員候補生は訓練の日も浅く、少なくとも半年間は実務出
動は、しない予定だ。今のところ予備隊的意味合いが強い。
 
 ローカルグループとはいえど地元の人気グループイベントということでG市内も、にわかに
騒がれ始め、楽しみにしている市民達も多い。同時に警護役の隊員達も、浮ついた気持ちがな
いといえば、嘘になる。しかし隊員達を騒がせているのは、それだけではない。

 〝試作型・衝撃吸収素材使用のプロテクター〟なるものを装備しての初の任務になる。
  
 今回初期メンバーが警護役にあたることになるが、そのうち10名が、この衝撃吸収素材使用
プロテクターを実装するとこになっている。
 
 「いや〜、金かかってんなぁ〜」
 
 「こういうのつけると実働部隊って感じっすね」

 「性能的には防弾チョッキの簡易版ってことなんだけど素人の殴る蹴るぐらいなら、これで
も充分、衝撃吸収するそうだ」

 〜などなど隊員達の間で何かと話題になった。このプロテクターは地元の企業が中心となり、
性能面やコスト面等を考慮して試行錯誤し、ようやくプロトタイプが完成したばかりだった。
民間試自警組織団体は警察に近い組織だが、厳密にいうと機動隊に近い組織を目指し編成さ
れた色合いが強い。
 大きな事件は稀とはいえ、小事レベルの事件は後をたたず、神経を尖らせた民間人が武力行
使することもそれなりにあるからだ。中には複数による暴行事件も多発しており、こういった
事件に対応する為には、より専門的な組織の設立が必要と判断され隊員達の採用から訓練内容
も決められていったのだ。

 そう遠くない日に今以上の治安悪化に走る傾向になると予測されたが故の処置だった。しか
し、設立初期段階では、そこまでの精鋭組織を形成できるのか❓という懐疑的な見方も強く、
最低1年・長くて3年は様子を見ようということで自警団体運営費・出資者達は合意。
 そして…1年ほど経ち、地道ながらに思ったよりも実績を上げていることに、まずまずの評
価をし、機動隊的実働の現実味が浮かび上がっていく過程で、通常装備の強化も検討されていっ
た。

 〝思ったよりも早くにプロテクターが試運転されたなぁ…〟

 秋部は1人そう思った。それがこの隊に対しての評価なのだろうということに満足しつつも
治安悪化の傾向増加により、通常装備強化も並行して急いでいる証拠でもあるなと思うと少し
複雑な気分になってくるのであった。


red18
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